「情愛とアイロニーを必要としないセックス」(小説「アフターダーク」より)

村上春樹の小説「アフターダーク」の主人公であるマリは言う。

「『アルファヴィル』って私の好きな映画のひとつだから。ジャン・リュック・ゴダールの」

この映画って僕も見たかったのですが、生憎DVDがずっと廃盤でした。
でも最近再発売されたので、早速購入しました。

アルファヴィル [DVD]

アルファヴィル [DVD]

SFなのにも関わらず、モノクロで撮影されたかつてのパリそのままの風景を舞台にした映画。「アフターダーク」でも述べられている通り、非常に観念的な作品です。つまり見る側の想像力が必要な映画で、最近の「映像がすべてを語る」ハリウッド映画の対局にあります。
エディ・コンスタンティーヌが主人公のFBI捜査官として、コンピュータ「アルファ60」に支配される別の銀河星雲にある都市「アルファヴィル」に潜入する。そこは感情を抱いたというだけで公開処刑されるところ。例えば泣いたという理由だけで。ヒロインのアンナ・カリーナを彼は連れて、「アルファヴィル」を脱出する。それは人間性の回復なのか?それとも大いなる欺瞞なのか?